ぎんの目の前に、とつぜん現われた女の子
ひとり・・ふたり・・さんにん?
・・・よにん?・・・いえいえ、もっといっぱい!
あっという間に周りを囲まれて、ぎんの泣きベソも止まってしまいました。
「 泣いてるー 」
「 泣いてるぅ 」
「 泣いてるねぇ 」 女の子達の声がコーラスみたいに重なります。
「 どーする? 」
「 どうしよっかぁ? 」
「 どうするの~? 」 みんな顔を寄せ合って、なにやら相談を始めましたよ?
「 遊んであげるー? 」
「 仲間にいれよっか? 」
「 一緒に遊ぶの~? 」 女の子たちはクルリと振り向くと、全員で大合唱
「 大 賛 成~~!! 」 一斉にワァ~っと寄って来ると、物珍しげにぎんのカートに手を突っ込んで、次々と荷物を取り出していきます。
「 コレなぁに? 」
「 なんだろ これえ? 」
「 これチョウダーイ 」 わ、わ、わ チョット待って~ 取り出された
火種を見て、ぎんはステキなことを思い出しました。
「 あのねっ これでキャンプファイヤーをしようと思ったの
一緒にしよう? 」 ぎんは、ちぇりー先生に教わった
キャンプファイヤーの説明を始めます。
「 薪をイッパイ組んで、火を焚いて みんなで周りを囲むの 」 薪を並べて積み上げて、その中に火種を放り込むと、途端に勢いよく炎の柱が昇ります。
暗かった森の中が パァアッと明るくなりました。
火の周りを囲んで ゲームが始まりましたよ
「モノ真似♪まねっこ~よーいどん♪・・・アルゴス!」 最初に叫んだ子が、アルゴスの真似をしながら歩きます
どうやら、しりとりみたい
「 す・・す・・スモーキー!」。
次の子が両手を曲げて滑稽なポーズで歩きます。
「 き~き~・・えーと・・キャラメル!」 今度は、しゃがんで手足を伸ばしたり縮めたり・・・
「 るー・・るなてぃっく~♪ 」 しゃがんだまま、ちょっと飛び跳ねて 頭の上で両手を伸ばして・・・
次はぎんの番です
名前が
『ク』で始まる、迷いの森で見かけたモンスターは?
えーーと・・えーと
「 く?・・・グリズリー? 」 ドッと歓声が上がりました。
しまった!
クと
グは違う言葉です
「 まちがえたぁ>< 」 少し小さくなった炎の中から
なにやら、ほんわりと甘い匂いが漂ってきましたよ?
「 だぁれ?お芋いれたのー; 」 いつの間にか放り込まれたお芋を取り出すと、
アチアチの焼き芋になっています。
キャンプファイヤーって、お芋を焼いたりするのかな?;
「 でも美味しいねー 」
「 ねー^^ 」
「 ねー♪ 」 みんな嬉しそうに、フーッフーッと頬張りました。
「 楽しいねー 」
「 ねー^^ 」
「 ね~♪ 」 お腹も満ちて落ち着いた頃、ぎんは ふと尋ねました。
「 みんなのおうちはどこ?森の中に住んでるの? 」 質問した途端、みんなの顔色が曇りました。やがて、隣に座ってた子が真剣な表情で打ち明けます。
「 あのね・・秘密なの。人間に教えちゃいけないんだって。
秘密を教えたら、アタシタチ森に居れないの 」 ニンゲンに教えちゃいけない・・?
・・・・あ!! チロチロと燃える火に反射する女の子の瞳は、ぎんとは違う異種のモノです。
「 じゃあ、ぎんがまた森に来たら みんなと会える?
いっしょに遊べる? 」
「 ・・・・わかんない 」 不思議な瞳の女の子たちは、淋しげにつぶやきます。
「 逢えるかも知れない 」
「 もう逢えないかもしれない 」 「 アタシ達、ずっと森に居るけど 同じ人と逢えたコトがないの 」 夜空を見上げた一人が、ふっと思い出したように立ち上がりました。
「 そろそろ 次の場所へ行かなくちゃ 」 その言葉を合図に、みんなも立ち上がります。
「 出逢えた記念に・・コレあげるね♪」 一番背の低い女の子が、ぎんの手に何かを乗せてくれました。
それは
紫色した小さなリボン。 みんなは、そろって一本の樹の脇を通っていきます
「 さようなら 偶然会えたトモダチ 」
「 さようなら~ 思い出のトモダチ 」
「 さようなら 秘密のトモダチ♪ 」 みんなの姿が霧のように消えた後、ぎんも、そっと呟きました。
「 ありがと・・・・森のお友達 」 手の中に残された小さなリボンを握り締めて、ぎんは しばらく佇みます。
もうニギヤカな笑い声も足音も気配も感じられません。
辺りはまた、静まりかえり 闇の中に落ちていきました・・・・
朝、目が覚めて ぎんは黙々と調査を続けます。
さあ 最後のSpeedポーション、一気にゴクリと飲んで いよいよラストスパート
スタイナー・コーコー・ホルン 今度は右の道へ
ロッカー・ウルフ・ポポリン 次は左奥のエリアへ
マーティン・ヨーヨー・ダスティネス もう一度手前の茂みから
サベージ・アルゴス・スネイク 地図の全てを完全網羅!
「 終わった・・・はふッ>< 」 さあ、ちぇりー先生と教授にご報告です。
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「 フム これが現在、森に生息する生き物の分布図なのだね? 」
「 私が調査に入った頃と 若干変わっていますね。
ほら、このエリアとこのエリアです~ 」 ぎんが書き込んだ森の地図を囲んで、教授達が話しこんでいます。
結局、4日間のキャンプで ぎんは
何かを新しく発見することが出来ませんでした。見つけたと言えば、ひとつだけ・・・
ぎんの脳裏に あの
女の子達の姿が浮かび上がります
森で出会った、不思議なあの子達のコトを打ち明けようかな・・? でも、あんな不思議な話、誰が信じてくれるでしょう?
それに、もし信じてくれたとしたら?
そうです。 もしソレが
大発見だったなら?
大勢の研究者達が押しかけて あの子達を探し回り、追いかけ回すでしょう
そんな騒ぎになったら・・・・?
アタシ達 森に居られなくなるの
「 ぎんねこちゃん? 」 はッと我に返ったぎんは、慌てて頭を振りました。髪に乗せた、あの
思い出の紫リボンも激しく揺れます。
「 イッパイ準備してくれたのに、ぎん なぁんにも発見できなかった; 」 「 あらあら>< こんなに細かく調べてくれたじゃないですか? これは立派な資料ですよー? それに・・・ 」 ぎんの頭をチラリと見たちぇりー先生が、自分の
首に巻いたキツネの襟巻きを引っ張りました。
「 なぁんにも・・・では ありませんね? 」 そのキツネのシッポには、
紫色のリボンが巻いてあるではありませんか!?
「 ちぇりー先生! ソレって、ソレって・・・・! 」 先生の人差し指が ぎんの声をストップ
「 シーー・・です^^」 ウォッホン! 咳払いをした教授が、ニンマリと微笑んで近寄ります。
「 ぎんねこ君。
歴史愛好家にとって、もっとも大切なものは何だと思うね? 」 教授は着ているジャケットの裏側を ヒラリ・・・
そこには おなじ
紫色のリボンが・・・!
ウィンクしながら、教授はぎんに耳打ちします。
「 ロマンじゃよ ロ・マ・ン 」 わぁッ♪ ><【友情出演】・・・高レベル一次職のみなさん
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公開おめおめ~^^
2007/09/02(Sun)02:12
No.2|by ファラオ帽の夜空|URL|
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