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ぎんねこ商人にっき

名声無いけど夢はある。
 

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2024/03/30(Sat)01:02

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ぎんねこの迷宮の森 その②

2007/08/11(Sat)00:30

 二人はゲフェンの展望台から移動して、ブロンテラ北東にある一軒のお宅へとやって来ました。

 ここって、誰のおうち?
 
 初めてお邪魔する 立派なお家の中を きょろきょろ('_'*)
 図書館にあるのより、ずっとずっと厚くて古めかしい本。
 不思議な置物。
 あの真ん丸いガラスは何かしら?

「 おやおや この子かね? キミが話していた『ちいさな研究家』は? 」
 
 執事さんを伴って、誰かが 部屋の奥から現われました。
 大きなお腹に立派な白い髭。
 奥から現われたのは、でっぷりとしたおじいさんです。




「 お久しぶりです、教授。迷宮の森の調査をお手伝いしてくれる子が見つかりましたよ^^」

 ? ? ? ('_'*)

「 ふむふむふむ。丈夫そうな足に、元気なホッペ、好奇心旺盛な瞳。
   ワッハッハ!これはこれは 」


 『教授』と呼ばれた その人は、ぎんを見ると愉快そうに笑い声をあげました。

「 改めて紹介しますね^^ こちらは私の恩師の考古学者メッツ教授です 」
 
 ちぇりーセンセイの先生? ぎんは、いそいでペコリとお辞儀。

「 よく来てくれたね。うむ 迷宮の森の調査は、ワシと弟子・ちぇりーの共通の課題での。
  学生の頃からの調査対象区域なのだよ」

 
 懐かしそうに、お互いの昔話を始めた二人を前に、ぎんはまた心配になってきました。
 先生たちがイッパイ調べても解らないのに、ぎんは何を見つけられるのかしら・・・;
 モジモジと落ち着かないぎんの様子をみて、教授は ひとつのお話をしてくれます。

 「 よいかね? ぎんねこ君
   どんな発見も、膨大な資料の上に生まれるのだよ。
   『真実』は、遠く高い場所にある宝石・・・それを覗き見るには、数多くの調査が必要なのだ。   
  ちぇりーも、このワシも 長年、バラバラになった『事実』を拾い集めては、真実への階段を一段ずつ積み上げておる。
  
  だがの、時には・・・階段は崩れる。
  苦労して手に入れた宝石が ただの石ころだった事もある  」

 
 教授の視線が、本棚の上に残された数々のノートを彷徨います。 
 
 「 それでものぅ。わし達、研究家はけ、けっして諦めない。  
   突如現われる、その宝石の美しさを知っているからのぅ。
   ・・・発見とは いわば奇跡の宝石なのだよ。 

 「 ええ^^ 教授、私もです。私も、諦めることは出来ません 」


 ちぇりーさんが、そっと教授に寄り添って頷きます。
 
 「 どうだね? ぎんねこ君
  キミが見つけるであろう 小さな奇跡をワシに見せてくれんだろうか? 」


 「 それは、ちっちゃくてもいいの? 」
 

 「 もちろんですとも^^ ぎんねこちゃんだけが見つける事が出来る
  ちいさなちいさな発見に期待しています。 」

 
 「 ・・・・うん(^^*) 」 
 
 長い間、二人が積み上げてきたという資料が、ぎんの目の前にありました。
 
 
コレが、いつか『真実』へと導く階段となるの?
 それなら、ぎんも、もっと高くするお手伝いをしよう・・・・ 
 



 教授が保管していた研究資料を元に、さっそく荷造りが始まりました。

 雑貨屋さんや露店をめぐり、ちぇりー先生は食料やお薬を買っては ぎんのカートの中にポンポン、ポン!
 いろんなモノを詰め込んで あっという間に、四日分のお泊りの準備がそろいました
 重くなるけど、危険なモンスターにカートクラッシュ攻撃するには この重さが効果絶大なのです。
 



 特別のチョコのおやつ
 かぼちゃランプ
 三日分のお弁当
 
 自分のカートを覗き込んで、ぎんは もうウキウキ♪
 
 「 ピクニック行くみたぁい(^^*) 」 
 
 「 森の中にお泊りするのですから、キャンプと言った方が正しいですね^^ 
   私も学生の頃は、調査しながら グループのみんなで野営したものです。
  そうそう、日が落ちて暗くなったら キャンプファイヤーを楽しんだり^^ 」


 
 「薪」を積みあげて火を灯し、周りで歌ったり 火を囲んでお喋りする「キャンプファイヤー」という儀式を知りました。

 「 ぎんも、ソレやってみる! カートに薪もいれなくちゃ! 」 
 
 お買い物が済んだら、こんどは身支度の準備です。
 カプラ倉庫から武器や鎧をアレコレ選んで・・・・これでOK

 最後の最後に、ちぇりー先生は自分のポシェットから 綺麗な巾着を取り出しました。
 
 「 これはお守りですよ^^ 中に蝶の羽が一枚はいっています。
   けっして無くしたり、落としちゃダメです。
  森から出られなくなっちゃいますからね?」

 
 首から紐をかけてもらい、ぎんはお礼を言いました。


 出発の日、
 イズルードの橋まで見送ってくれたお姉ちゃん達と みっつのお約束をします。
 
 「 ひとつ、奥の迷宮の森には入らないこと。
   ふたつ、大きなモンスターに遭遇したらハエで逃げること
   そして みっつめ・・・必ず元気に帰ってくること!!」

 
 「 わかってまーす! ぎん、行ってくるね! 」 
 

■■■■■■ さあ ぎんねこ、初めてのお泊り調査探検キャンプです!■■■■■■


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No.18|ぎんねこ日記Comment(0)Trackback

ぎんねこと迷宮の森 その①

2007/08/04(Sat)11:40

 う~ん;う~ん;

 沢山の本を目の前に、ぎんは大きなため息をひとつ。
それは三日前のコト。ジュノーで開かれたちぇりー先生のセミナーで、ぎんはひとつのお約束をしていました。



「ハイ、ハーイ!><ノ じゆう研究して報告するネ!」

 初めて参加したセミナーが、あまりにも楽しくって 思わず宣言しちゃったのです。
 でも、ぎんは『研究』なんてしたことがありませんでした。
なにから始めたらいいのか?サッパリ見当がつかないのです。

 う~ん;う~ん;・・・・ウウ~ン;;
 
 参考にしようと沢山の本を読んでみたけど
 ジュノーの経済について? ジュピロスの地下都市について? なんのコトだろ?
 どうやら『研究』って とっても難しいみたい・・・

 「 楽しみにして待ってますね^^」
 
 あの日、微笑んでたちぇりー先生の顔が浮かんできます。

  真似ッコすればいいのかな? 
 
 少しだけ簡単そうな本をひらいて、書き写そうとしたけれど・・・・

 ダメダメ>< だってちぇりー先生はジュノー図書館でイッパイ本を読んでいるのだもん
 すぐにバレちゃう

 それに・・・ズルッコは良くないよね? 

 ため息をつきながら、図書館からの帰る途中 ぎんはゲフェンでお弁当を食べるコトにしました。
 場所はお気に入りの展望台です。

 空中に浮かぶ階段を一個ずつ上っていくと・・・あらら?
 誰か先客がいて、望遠鏡を覗いているようです

 「 あ~ ちぇりーせんせーだ! 」
 「 こんにちはぁ^^ ぎんねこちゃんも、ここでお弁当ですか? 」

 
 クルンと振り返ったちぇりーさんの目に、望遠鏡の輪っかの跡がクッキリ! ずいぶんと長い間、眺めていたようです。

 「 なにを見てたですか? 」
 
 「 何か面白そうな謎が残っていないかな?と^^
   研究に煮詰まって、悩んでいる時は、ここで望遠鏡を見て過ごすのです」

 
 ふ~ん('_'*)
 
 悩んでる、と言ってる割には、なんだか楽しそう。先生の目はキラキラしています。

 「 どうして研究家になったの? 研究って楽しい? どうすれば研究は上手にできるの? 」

 「おやおや^^ さては、ぎんねこちゃんも悩んでいますね? 自由研究が進まなくて困っているのでしょう?」

 
 「 どーして判ったの!?>< 」 
 
 ちぇりーさんはウインクしながら、ぎんのお弁当を指差しました。
 
 「 何故なら、美味しそうなお弁当が半分も進んでいないからです 」 
 
 ・・・・たしかに; このところ、ぎんは食欲が落ちて お姉ちゃん達にも心配されてしまいました。
 
 「 ぎん ほんとうは『研究』ってしたコトがないの。 だから、報告のお約束守れないかも・・・ 」

 
 白状しちゃったぎんに、ちぇりー先生は頷きながら尋ねました。
 
 「 じゃあ、どうして「研究しよう!」って思ったのかしら? 」
 
 それは・・・・
 
 「 だって、楽しそうだったから(' '*) 」

 「 私も、同じだったんですよ^^ 
   伝承や昔語り、今に残る史実 少しずつでも調べていって、もっと色んな事が解った時・・・・楽しくて嬉しくて仕方ないのです 」

 
 そういえば、セミナーでお話していた先生は、あの会場の誰よりも楽しそうでした。
 
 「 そして、もっと探したくなるのです。
  ほかの不思議なもの・・・謎なもの。さぁ、一緒に望遠鏡を覗いてみましょう? 」
 
 
 ちぇりーさんに促されて、ぎんも望遠鏡に目を当ててみました。
 
 「 なにが見えますか? 」
 
 レンズの向こう側、ぎんの視界一杯に緑の森が入ります。これは、どっちの方向なのでしょう?
 ルナちゃんが見える・・・ファブルもいる・・ブロンテラの森かな・・あ、アレって?
 
 「 せんせぇ 森の奥に門が見える。でも、街の門じゃないみたい 」
 
 「 森の奥に門。あぁ、それはきっと『迷宮の森』の入り口ですね 」

  
 
迷宮の森??
 
 
 ああ、ちょっとだけなら、ぎんも知っています。ブロンテラの西北には、迷路になっている森があって遭難する人が後を立たないので、国が門を作って注意を促してるって。
 
 「 迷宮の森の謎については、学生時代に調査した事があるのですよ。ですが、はっきりと解らないのです。謎です・・・」
  
 迷子になるのが面倒だから、ぎんは一度も入ったコトがありません。
 
 「 ぎん・・・行ってみようかしら 」
  
 おお!と、ちぇりー先生が歓喜の声を上げました。
 
 「 調査してみてくれますか!? いまだに解明されていない謎の森。
   なぜワープしてしまうのか?そして、なぜ多くの生き物が生息しているのか? 
   さあ、そうと決まれば調査の準備ですよ!手伝わせて頂きます^^
   早速、準備をしに行きましょう! さあ♪」
 
 
 「 待って待って、お弁当まだ食べてないです>< あぅ、ちぇりー先生~ どこ行くの?? 」  

 興奮したちぇりーさんに、グイグイと腕を取られ、ぎんはカードごと引きずられます。
 
 うわぁ・・><  なんだか忙しくなってきましたよ??
 

No.17|ぎんねこ日記Comment(2)Trackback

ぎんねことジュノーの賢者

2007/07/25(Wed)00:52


 お料理の材料を買うために、たまにジュノーという都市を訪れます。
ジュノーは空中に浮かんでいる不思議な都市なの。ゲフェンが特別なパワースポットなら、ジュノーはサイエンスな場所なんですって。
それから、博物館研究所があって、賢者と呼ばれる人達が住んでいるの。
 
 ぎんは、ここに来ると必ず図書館に寄ります。ブロンテラの図書館では読めない本が、ここではイッパイ読めるのです。
 受付でお名前を書いて「絶対に騒いだり、走ったりしません。本を大切にします。」ってお約束したら誰でも利用できるの(^^*)
 
 お料理の本にしようかな? モンスター図鑑の3巻もいいな

 左のお部屋に入っていくと、本棚の前に先客が居ました。
片手に乗せた沢山の本がグラグラしてるのに、さらに、もっと積み上げようとしていますよ?

 お手伝いをしようかしら・・・

 その人に近づいたぎんは、あるモノに気が付きました。
 
 キツネの襟巻きしてる・・・・・・あ!



「 魔法のコトバのおねえさんだ! 」

「 きゃ!?>< 」

 
   ドサドサドサー

 「 シーーーーーー! メッ! 」 
 
 図書館の人がやってきて、人差し指を立てて注意して行きました。

 「 ゴメンナサイ;; 」 
 
 床に落ちた本を拾い上げたお姉さんも、ぎんの顔を見て思い出したようです。

 「 おやおや 競馬場でお会いした商人さんですねー^^
  あのサベージベベちゃんもお元気ですか? 」
 
 「 (けいばじょう?)うん! あ、そうだ。。あの時はどうもありがとうでした、それから、ぎんの・・じゃなくて; ワタシの名前はぎんねこといいます。どうぞよろしくです 」

 「 これはご丁寧にありがとう^^ 私はチェリー。ジュノー在住の研究者です、専攻は考古学・・歴史家です 」

 「 う・・・?、っと こーこがく?けいばじょー? 」

 「 あらら>< モンスターレース会場でしたね あそこに居たのも、調査が目的でして・・・『社交場における貴婦人の特別な帽子と競馬場の因果関係について』 そもそも帽子の役割が謎なのです。馬に、どのような影響を及ぼすのか?それとも・・・」
 
 
 なにやらブツブツと独り言を言い始めたお姉さんに ぎんは目がぱちくり('_'*)

 「 はッ つい没頭してしまいました;
  ところで ぎんねこちゃんは、遠い国の昔話や物語はお好きですか? 」


 ものがたり?それなら・・・

 「 ぎん、だいすッきです♪ 」
 
 お姉さんは、ポケットから一枚のチラシを渡してくれました。

 「 午後からセージキャッスルで 私のセミナーがあるのです。良かったらお話を聞きに来て下さいな 」
 
 「 いろんなお話してくれるの? 」

 「 はい^^ 皆さんが興味を持つような楽しい話、不思議な話、ちょっと怖い話など・・・ 」

 「 わあ♪ ぎん、ぜったいに行くね 」
 
 
 会場はジュノーの西側にある大きな建物でした。案内の通りに歩いていくと、奥からワヤワヤと話し声が聞こえてきます。

 薬剤師さんやプリーストさん、それから見た事のあるローグさん。いろんな人が集まっていますよ。
 やがて前方の教壇に、チェリーさんが現われました。

「 みなさん こんにちはぁ^^ Cherryの講習会へようこそ 」

「 うお~ ちぇりーさーん 」


 隣に座った男の人が、ドスの低い声で歓声をあげたからビックリ

 わあ>< なになに?
 
 こちらに顔をむけたちぇりー先生が、ぎんを手招きしてくれました。

 「 初めての方もいらっしゃいますね? 一番前にどうぞ~ 」

 ぎんは一番前に通してもらいました。すると、さっきのドス低い声の人も付いて来ようとします

 「 お。。おれも前がいいな~ 」

 「 ガッツさんは常連さんですね>< 今回は、そちらで我慢ですよ 」


 ドッと笑い声が上がって、その人はテレくさそう元の位置へと戻ります。

 「 さて、本日は『ニホン』という国の夏休みの過ごし方について。判明したコトからお話しましょうね。 」



 ニホンという国では、仕事をしていない子供は学校でお勉強してたんですって。でも暑い時期になると、長い休暇があって『夏休み』っていうのがあったとか・・・。
 
 大勢で山や海へ行って沢山の花火をあげる大会があったり、おおきな果物を叩く競争とか、お墓に行って、お花を飾ってから みんなで脅かしっこするとか・・・ちぇりー先生は、いろんな絵を見せてくれながら、身振り手振りでお話ししてくれます。
 みんなは感心したり、笑ったりしながら夢中になってお話しを聞きました。
 ぎんが一番、興味を持ったのは『がっしゅく』という儀式かな? みんなで外でお泊りしながら、上手になりたいコトを集中してやるんだって。そーすると上達するそうなの。

 ふ~~~ん('_'*) がっしゅく・・・・いいかも!
 
 「 以上が、私が調べたニホンの代表的な夏休みについてでした 」
 
 大きな拍手を受けて、チェリー先生は帽子を取って みんなにお辞儀しました。

 「 本日のセミナーはこれで終了致しましょう。そして、私から皆さんへ提案があるのです。」

 ??

「 みなさんも、今年の夏は=研究=をしてみませんか?
  課題は自由です。普段、不思議に思っている事、調べてみたい事を調査してみるのです。 採集でもいいですね^^
  そして、調べた結果を、どうぞ私までご報告くださいな^^ 楽しみにしてますね~」


 「 ハイハイハーイ! 俺、やります! ちぇりーさんに報告します!」

 常連のガッツさんが、我先に手を挙げて名乗り出ました。
 その声を聞きながら、ぎんはチョット想像します。

 ぎんも研究家になるの?
 沢山の本や資料に囲まれたぎん。メモを取りながら街を歩くぎん。
 ナゾが解けて みんなに驚いてもらうぎん。

 な。なんかステキかっこいい!!

 「ハイハイハーイ!><ノ ぎんも自由けんきゅうして、ちぇりー先生に報告するよ!」

 さあ、宣言しちゃいました!

 いつもと違う、ぎんの夏が始まりますよ?

No.16|ぎんねこ日記Comment(0)Trackback

ぎんねことべべちゃんの贈り物 【後編】

2007/07/22(Sun)01:05

選手控え室に行ったべべちゃんを見送ってから、ぎんはチケット販売所へと移動です。
 もちろん買うのは、ベベちゃんの番号札です。だって、毎日あんなに駆けっこしたんだもの。きっと、いちばん早いに違いありません。
 
 会場では、先のレースが行われてる最中でした。
 コースには魔法で色んな障害物が仕掛けられていて、ペットモンスター達は必死で前へと進もうとします。
 バネにぶつかって後ろに戻されるルナティック
 トラップにひっかかって動けなくなるバフォメット
 目を回してクルクル回転するポリン
 観客は自分が選んだモンスターに向かって、ワアワア!と大きな声で声援を飛ばしています。
 
 「 イケイケイケー!! お前に賭けてるんだぞー 」
 「 止まるなぁぁ うわああ 走ってくれぇ;; 」


 番号札を握り締めて、腕を回して追走する人
 イライラしながら立ち上がったり、座り込んだりを繰り返す人
 ポーカーフェイスで眺めてる人
 
 ぎんの他にも、だれかべべちゃんの札を買ってくれた人はいるのかな?
 ぎんと一緒に応援してくれるのかしら?それとも興奮して怒ったりするのかしら? 
 
 わぁぁ;大丈夫かな?><
 
 ぎんもコースの周りをソワソワソワ。屋台に並んだ焼き菓子もオモチャも目に入りません。

 いよいよベベちゃんの組が回ってきました。3番目のゲートに並んだベベちゃんは鼻息を鳴らして真剣そのものです

 「がんばってー ぎん、ここにいるよ~」

 果たして、ぎんの声は届いてるかしら?
 べべちゃんはお鼻をプクッと膨らませて合図を待っています。

 「位置に付いて。よぉおい・・・・START!!

 プッフーー!

 毎日の練習と同じように、猛ダッシュしたべべちゃん! 両隣りのペットと並んで走りだしたのに、急に立ち止まりました。ああ罠に引っかかっちゃったみたいです。
 ジタバタ必死でもがいているのに、罠から体が抜け出せません。そのまま、お隣のルナティックがゴ~ル

 「やぁやぁ、あと一息でしたね~ もう一度参加しますか?」

 ぷぅ!
 柵の向こうで悔しがるベベちゃんを見て、ぎんはもう一度契約書にサインしました。

 「位置に付いて。よぉおい・・・・START!!

 プププフゥーッ

 「3コースのサベージベベ選手、勢いよくダッシュしたのは良かったが~あぁ、ココで残念!」
 
 途中までトップだったのに、ああ今度は方向を見失ってゴールへ逆戻りです。

 プゥッ ぷうぅう><

 「 もっかいべべちゃん 走らせてください! 」


 パァーン!と号砲と共に、今度は探るようにゆっくりとべべちゃんが走り出します。真ん中までは順調!・・ところが 

 ぷぅ・・・プススス~♪
 
 途中で仕掛けられた睡眠魔法に気持ち良さげに、寝息を立て始めました;

 「 眠っちゃ駄目!>< 起きてーーッ 」
 
 「一着は1コースのポリン選手でーーす」


 パパーーン!
 
 目を覚ましたべべちゃんが、途方に暮れた顔で観客席を振り返りました。キョロキョロとぎんの姿を探しています。

 ・・・こんな時は、どんな言葉をかけてあげればイイの?

 ぎんと目が合った途端、べべちゃんは、うつむいて、また走るために戻っていきました。
 
 渡された契約書に躊躇いながらサインをして観客席に戻ると、大きな野次が飛んでいます。 

 「 なんだぁ?あのサベージベベ、全然駄目じゃないか~?」
 
 悔しくって言い返そうとした、その時

 「 あのサベージベベちゃんを応援してるの? 」

 優しい女の人の声が、お隣から聞こえてきました。
 狐の襟巻きを巻いたきれいな女の人です。



 「 うん。ウチの子なの。一生懸命、毎日練習したのに頑張ってるのに、一回も勝てないの><」

 泣き出しそうなぎんを見て、その人はアラアラと微笑みました

 「 そうですか^^ じゃあ魔法の言葉を教えてあげましょう 」

 魔法の言葉?
 その人は、ウィンクしながら人差し指を揺らしました。

 「 フレーフレー、です」

 ふれーふれー?

 「 昔、遠い東の国では この言葉で応援したの。魔法のコトバですよ^^ 」

 初めて聞く言葉。ぎんは口の中で その言葉を繰り返してみました。

 「 さあスタートしますよ。大きな声で フレーフレー! 」

 ぎんは思い切り息を吸い込むと その魔法の言葉を叫びました

 「 フレーッ フレーッ 」
 
 「 もっと元気よく ハイっ 」
 
 「 フレーッ フレーッ べべちゃーーん!」 
 
 「 もっとリズミカルに ハイっ 」
 
 「 フレーッ フレーッ べべちゃん!フレーッ フレーッ べべちゃん! 」

 
 その時、その会場にいた誰よりも大きな声で ぎんは願いを込めました

 がんばれ がんばれ がんばれ がんばれーー><

 「各コース共、ここまでは横一直線!おっと6コースバフォJrが逆走したゾ~、さあココで2番3番が前に躍り出ましたッ

 ベベちゃんが必死の形相で前へ前へと進みます。罠にかかっても諦めず前へ前へ!隣に抜かれても前へ前へ!

 「3コースのサベージベベ選手、すごい勢いですッ 止まりません止まりません!! コレはイケるかぁ??」

 一瞬、ぎんは周りの歓声が聞こえなくなりました。
 聞こえるのは自分の心臓の鼓動と、ベベちゃんの鼻息だけ・・・

 「サベージベベ!まもなく、まもなく、まもなく・・・・・ごぉおおおおおるうーーー

 パパーーンッ! 

 べべちゃんの頭上に祝砲が鳴り響きました
 ベベちゃんの優勝です

 「やったーっ おねえさん ・・・ あれ?もう居ない?」
 
 振り返ったとき、あのおねえさんの姿は どこにも見当たりませんでした。


 ぷっぷ~♪ ぷっぷっぷぅう♪
 
 控え室外では得意げに鼻を鳴らして ぎんのお迎えを待っていました。
 契約書と共にべべちゃんを返してもらいご褒美のメダルを枚四枚受け取ります。

 「良かったねー(^^*)べべちゃん 」

 帰り道、門の外で蝶の羽を取り出したぎんに べべちゃんが大きくかぶりを振り また飛行場へと走っていきます。
 今度はドコへ行くのでしょう?
 
 次にべべちゃんとぎんが降り立ったのはアインブロック
 べべちゃんは またキョロキョロと何かを探しています。
 
 「ケホンケホンッ ここ、ちょっと煙たい町だね;
  あの工場の煙突からモクモクと煙が出てるよ」


 大きな煙突を見つけたベベちゃんが工場の中へと入っていきました。
 あれあれ工場ってナニがあるのでしょう?
 追いかけていくとベベちゃんが 誰か知らない人の傍にいます



 「やあ こんにちは^^ メダルを持ってきてくれたんだって?」
 
 油で鼻の頭を黒くした男の人がにこやかに ぎんに話しかけてきます

 「メダルってこれですか?」

 さっき受け取ったメダルを差し出すと、工場の人はしっかりと受け取りました。

 「うん コレだよ。コレは大切な材料になるんだ。」
 
 ('_'*) べべちゃん よく知ってたねえ

 「メダルのお礼は・・・・女神よ、この者に祝福をお与えください」


 ・・・・・??・・あ! 

 男の人が祈りを捧げた途端、ぎんの体に不思議な力が満ちていきます。

 こ・・これって!?

 誰かのお願いや、困っている人を助けると、そのご褒美に女神様が成長する力を授けてくださる事は聞いていました。ぎんは、たった今、その祝福を受けたのです。
 ちょっと強くなってちょっと立派になったぎんを見上げて、べべちゃんが満足そうに頷いています。
そんなベベちゃんを見て、ようやっと色んな謎が解けました

 べべちゃんがレースに勝ちたかったのは ぎんに、この力をプレゼントするためだったんだ・・・・

 思わず、べべちゃんにギュッと頬ずり

 大好きだったベベちゃんのコトが もっともっと大好きになりましたよ




おうちの一番目立つトコに飾ることにしたのよ(^^*)

No.15|ぎんねこ日記Comment(3)Trackback

ぎんねことベベちゃんの贈り物 【前編】

2007/07/16(Mon)14:25

 
 玄関からヘンな物音が聞こえるとお姉ちゃん達が食堂を出て行きます。
 一人遅いお昼ごはんを食べていたぎんも、玄関へ行ってみました。
 音の原因はベベちゃんでした。
 オデコを押し付けて、ドアを押し開けようとしているのです。

「ベベちゃん お外へ出たいのじゃない?」

 そういえば、ベベちゃんが迷子になるのが心配で、最近はドコにも連れて行ってませんでした。

 そっかぁ ベベちゃんだってお出掛けしたいよね('_'*)
 
 残ってたお蕎麦をツルンとすすって、さっそく午後のお散歩に行くことにしました。外出の準備をするぎんの横で、お姉ちゃんがちょっとドアを開けた途端・・・

 「ぁ、ああーッ べべが逃げ出した!」

 ものすごいスピードでべべちゃんが走り出しました。みるみるうちに姿が小さな点になっていきます。
 たいへんッ!
 慌ててぎんも、後を追いかけます

 「べべちゃーーんッ べべちゃぁああん」

 一体、どうしたというのでしょう?
 ぎんは半べそになりながら大きな声で叫びました

 「待ってぇ 逃げてっちゃダメー うわぁあああん(T◇T) ・・・・ぁ、あれ?」

 中央市場の付近で 急に止まり、べべちゃんは振り返ってキョトン?としています。
 ぎんが追いつくまで そのまま待っててくれました。

 「うわぁん>< べべちゃん驚かせないでよぅ」
 ププゥッ?

 
 ぎんが追いついたのを確認して またべべちゃんが走り出します

 「待って、待って; ドコ行くの?」

 見失わないようにぎんも また駆け出します。イズルードの橋を渡り、小さな丘を越えて、プロンテラ南門へ向かって一直線。
そのまま門を潜るのかと思ったら、ここでUターン。今度は砂漠方向へ向かってベベちゃんは走っていきます。

 プップップー フッ! プップップー フッ!
 
 玉の汗を浮かばせて、ちいちゃなべべちゃんがリズミカルに走ります
砂漠の入り口で、またUターン。今度はイズルードの丘に向かって逆戻り
 結局、これを三回繰り返して ベベちゃんはやっと止まってくれました。
 ゼイゼイ息をついてるぎんの横で、ベベちゃんもプフプフと鼻を鳴らしています。

 「あそこでお水飲も?><」

 イズルードに流れ込む川のほとりで、ふたりは並んでお水を飲みます。
 綺麗で冷たくて・・ああ美味しい♪
 さっきまでチョット苦しかったのに、今は心臓のパクパクする音や温まった体が気持ちいい。

 「べべちゃん、明日もちょっと走ろっか?(^^*)」
 プゥ♪

 
 次の日から ぎんは、べべちゃんと駆けっこをしてからお仕事に出掛けるコトにしました。

 そんな駆けっこを繰り返していたある日、いつもより早い時刻にべべちゃんがドアを小突き始めました。
 今朝はまだ、朝ごはんも済んでいません。しかたないので二人分のお弁当を包んで、出掛けるコトにしました。

 べべちゃん 今日はソッチなの?
 いつも渡る橋とは反対方向の、飛行艇乗り場へ向かっています。

 「飛行船に乗りたいの?」

 ぎんはカバンにしまってた乗車券を確かめました。まだ3枚残っています。きっと、もっと遠くの町へ出掛けたくなったのでしょう?でも、どこまで行きたいのかな?
 ジュノーに付いた飛行船を降りて、べべちゃんは反対側の乗り場へ向かいます。反対側はシュバルツバルドの国際線。まだ、ぎんも一度しか行ったコトがない他所の国です。
 飛行船の中も遠くへ狩りに行く人たちで賑やか。ギュウギュウ詰めの甲板の隅っこに寄って、ぎんはべべちゃんに耳打ちしました。

 「ネ、ネ? リヒタルゼンってゆー国に行ってみる?ぎんね、この間、そこに行ったのよ」

 ぷぅぷぅ~・・
 え?ダメなの?('_'*)


 べべちゃんは飛行船ガイドさんが告げる国の名前をジッと待っているようです。

 「お待たせしました まもなくフィゲル村に到着いたします」
 プゥ!

 べべちゃんの大きなお返事に周りの乗客がチョット笑いながら道を空けてくれました。
 
 フィゲルって? どんな村なの? なにがあるの?
 
 飛び立っていく飛行船を見上げながら、ぎんは初めての国を空気を思い切り吸いました。
 近くに見える山々、流れている小川。それに町の方からは何だか楽しげな音楽が聞こえてきます。

 なんだか のんびりしてて楽しげな国かも(^^*)

 村は小さな小道沿いに色んな出店が並んでいて、観光客も散歩しながら屋台を冷やかしています。

 「アレなぁに?ふうせんだって!」
 
 話しかけるぎんをそっちのけで、ベベちゃんはしきりに何かを探しています。
 
 プー! 

 何かを見つけたベベちゃんが横道に入っていきます。その道の奥には人が大勢集まっていました。

 「お待ちかね! まもなくモンスターレースシングルがスタートします!!」

 もんすたーれーす?なんのコトかしら・・・
 
 会場には、何本かにゾーンを区切った大きな柵があって、30メートル程の距離があります。よく見ると沢山の色んなペットモンスターが集まっていました。モンスター達は一匹ずつ、コースに別れてスタートの合図を待っています。

 「わぁ♪ コレって駆けっこ競争だね」

 周りの見物人は、一番早くゴールするモンスターを予想してチケットを買っているようです。ぎんもさっそく、その列に並んでみました。

 「おや、そこのちいさなお嬢さん。お連れのペットでレースに参加してみませんか?
  飛び入り大歓迎ですよ」


 係員のバッヂを付けたおじさんが、ぎんとベベちゃんに声をかけてきましたよ?
 呼びかけを待ってました!とばかりに、ベベちゃんがおじさんの前に歩み出ました。

 「もしかして、べべちゃんはレースに参加したいの?だから毎日走ってたの?」
 
 ぷぅ♪
 
 あれは追いかけっこじゃなくて トレーニングだったんだ


 「はい、そちらのサベージベベが参加ですね。じゃこちら契約書にサインを。
  大丈夫、レースが終わったら無事にお返ししますよ。」


 係員のおじさんに抱き上げられて、ベベちゃんはゲート奥へと連れられていきました。
 
 果たして大丈夫かしら・・・?

お話は【後編】へ続きます

No.14|ぎんねこ日記Comment(0)Trackback